2012年
(2012年10月掲載)
世界のどこでも均一な製品製造を実現する
極めて細かく高度な精度が求められる極小ボールベアリングにおいては、同じ材料、同じ製造装置を使用したからといって、必ずしもまったく同じ製品がつくれるとは限らない。そうした中、国内外8工場で均一な製品製造を可能にしている考え方が、ミネベア独自の縦糸/横糸理論だ。
まず縦糸だが、これまで培ってきた一貫生産のノウハウを基に、各工場の責任者が生産工程の始めから終わりまでを縦方向に見通し、徹底的にマネジメントすることを意味する。その一方で横糸とは、マザー工場となっている軽井沢工場の各工程責任者が海外7工場すべてにおけるその工程を横方向に客観的な目でマネジメントすることを意味している。このとき、各工程責任者はまるで隣の工場に行く感覚で、海外工場へ頻繁に赴き、技術指導を行うことが特徴だ。この縦糸と横糸が組み合わさって、世界中のどの工場でも均一な製品が高い生産性をもって製造される仕組みを実現している。
こうした均一な品質づくりは一見すると海外工場への一方的なやり方の押し付けに映るかもしれないが、ミネベアでは同時に進出先地域の文化、習慣を最大限尊重し事業の現地化を図ることを基本姿勢として貫いてきた。現地従業員を積極的に幹部に登用し、現地役員、従業員を主体とした工場運営を進めている。日本と同じことを別の地域で実現するためには、逆に最大限その地域に合ったやり方にカスタマイズすることこそが、比較的早い時期から海外に進出しノウハウをためてきたミネベアにおける信念となっている。