2012年
(2012年10月掲載)
一緒に汗をかく姿勢がチーム力を育てる
また、ミネベアでは海外展開の目的は単なる労働力確保ではなく、より良い製品を量産することという観点から長期的投資を基本としている。従って、新たに建てる工場にはすべて、その時点での最新鋭機器を導入しているほか、前述のマネジメントの現地化を積極的に進めるとともに、従業員教育についても時間と手間など将来への投資を惜しまない。
製造現場では実際に目の前でやってみせることを基本とし、新しい工場を立ち上げる際には、現地で雇用した従業員に、座学だけではなく、既に稼働している他の工場で実地研修を受けさせるということを徹底してきた。その後も日常的に軽井沢工場の技術者が各工場へ出向き、直接、繰り返しやってみせ、やらせてみてノウハウを伝える。さらに、各工場は良きライバルとして互いに競い合いながら技術の開発、習得に取り組んでおり、切磋琢磨して技術革新を進める風土が根付いている。なお、新たに開発された技術は、マザー工場の軽井沢工場で検証、採用され、すぐに全工場で共有される仕組みになっている。
特に表彰や奨励制度があるわけではないにもかかわらず、従業員が熱心に新技術の研究に取り組むのは、言葉や文化は違っても、ものづくりへの思いを共有できているからこそ。工場を新設する際には、日本から応援に行った従業員が現地従業員とともに床のモップ拭きをするなど、一緒に汗をかく姿勢を徹底していることが、全工場におけるチームミネベアの一体感と、従業員間における揺るぎない信頼関係を生み出している。
コラム「ボールベアリングの用途」
ボールベアリングは、私たちの生活を支えるありとあらゆる機械製品に組み込まれている。例えば、エアコンや掃除機などの家電製品や、自動車、飛行機などの乗り物、パソコンやコピー機などの情報通信機器に至るまで、社会の中で幅広く活躍している。
家電製品(エアコン・掃除機など)
摩擦抵抗を少なくし省エネルギーに貢献しているほか、回転時のノイズを低減し、静音化にも対応している。
乗り物(自動車・飛行機など)
ベアリングの長寿命化を実現することで、乗り物の信頼性に貢献している。なお、自動車には1台当たり100個以上のベアリングが使われており、求められる性能も多岐にわたる。
情報通信機器(HDD・コピー機など)
パソコンの薄型化に対応するために、HDDに使われるピボット(HDDの磁気ヘッドアクチュエーターを支える軸受)用ベアリングにも薄型化が求められている。ほぼ1ミリメートルという薄さである。
その他(デンタルハンドピースなど)
そのほかにも社会のあらゆる場所でベアリングが活躍している。歯科医で使われるデンタルハンドピースには、超高速回転に耐えられるだけでなく、水に晒される環境でもさびにくいベアリングとなっている。