製品における環境への取り組み 過去掲載分(2020年)
基本的な考え方
ミネベアミツミグループは、「信頼性が高く、エネルギー消費の少ない製品を安定的に供給し、広く普及させる」ことを通して、地球環境および人類の持続可能な発展に貢献していくことをCSR基本方針に掲げています。
当社グループの製品は、さまざまな最終製品に組み込まれるもの(部品)だからこそ、有害な環境負荷物質を含まない安全なものであることや、省エネルギー、省資源、長寿命といった、ライフサイクル全体で環境に貢献する配慮が重要であると考えます。
ミネベアミツミグリーンプロダクツ制度は、環境マネジメントをご参照ください。
ミネベアミツミグループの環境貢献型製品
世界で使用される電力の約40%はモーターが、約25%は照明が占めています。ミネベアミツミグループでは、こうした製品の高性能化、高効率化がエネルギー使用量削減に与えるインパクトは大きいと考え、性能、品質の向上に努めています。
また、当社グループが生産、販売する製品は、開発・設計段階から各国の環境法令やお客様の環境要求事項に従うだけでなく、自主的に製品含有化学物質調査や製品アセスメントなどを行っています。
当社グループは、2019年度よりこれら開発製品を「ミネベアミツミグリーンプロダクツ」としてまとめ、公表していきます。
SALIOT LEDスポットライト MS-V7(追尾機能付き)
ミネベアミツミは超薄型導光板の技術を活かしたLED照明用の超薄型レンズで照明業界に一石を投じました。さらに、この超薄型レンズに代表される光学技術と、モーター・電源・無線と複数の異なる製品と技術を集約したのがこのSALIOTです。
SALIOTは狭配光ならびにグレアレス化※1により無駄な光を削減し、従来品(他社品)※2に比べ約66%のCO2排出量を削減しました。
また、アルミダイキャスト部品をプレス板金+樹脂部品に変更することなどにより34.4%の軽量化を、そして、省電力化に伴う回路基板の小型化などにより製品を38.9%小型化しました。
※1 光の照度分布の不均衡をなくすこと
※2 天井高と直下照度を揃えた条件での他社一般品
SALIOT LEDスポットライト MS-V7
(追尾機能付き)
高精度・高品質ベアリング
ベアリングは物を容易に動かし、滑らかに回転させ、性能を上げ、省力化し、組み込まれた製品を小型、長寿命化させるなど、わたしたち人類にとって欠かすことのできない基盤製品です。
ミネベアミツミグループは、外径22mm以下のミニチュア・小径ボールベアリングや航空機用ロッドエンド&スフェリカルベアリング、ローラーベアリングという大小対極にあるベアリングの市場において世界のトップシェアを誇っています。
これら高精度・高品質のベアリングは、家電製品、情報通信機器、自動車など、わたしたちの生活に欠かせない身の回りの多くの製品に搭載され、それら製品の高精度化、省エネルギー化、省資源化、長寿命化など、あらゆる環境面に貢献しています。
一例として、ファンモーターに内蔵、使用される当社製ベアリングでは、従来品と比べ製品1個あたりCO2排出量を約7.9%削減できました。この削減率を生産個数と掛け合わせた場合、およそ2,479,518kgCO2のCO2排出量を削減できたと推計されます。
JCCCA(全国地球温暖化防止活動センター)による2016年度の日本の一世帯当たり年間CO2排出量は約4,520kgCO2/世帯 とされており、この値と比較した場合、当社の小さなボールベアリング製品が日本のおよそ550世帯分のCO2排出量分の削減に貢献できたと考えることができます。
ボールベアリング
車載用バックライト
ミネベアミツミグループは、スマートフォンやタブレット端末の液晶ディスプレイを背面より照らすLED(発光ダイオード)バックライトユニットを長年にわたり開発、生産、販売しています。
このスマートフォンやタブレット端末で養った製品技術を車載用バックライトに応用することで、従来品と比べ製品1個あたりCO2排出量を約16.7%削減できました。この削減率を生産数と掛け合わせた場合、およそ8,479,952 kgCO2のCO2排出量を削減できたと推計されます。
JCCCA(全国地球温暖化防止活動センター)による2016年度の日本の一世帯当たり年間CO2排出量と比較した場合、当社の車載用バックライトが日本のおよそ1,880世帯分のCO2排出量分の削減に貢献できたと考えることができます。
車載用バックライト
HDDスピンドルモーター
ハードディスクドライブ(HDD)のディスクを回転させるモーターであり、記憶容量や処理速度などHDDの性能を左右するため、回転数やNRRO(非繰返し性振れ)などの点で非常に高度な精度要求を満たす事が求められるモーターです。
一例として、He Sealed drive 向けHDDスピンドルモーターは、高信頼性を保つと共に前世代からMototr単体で約10%の消費電力(CO2排出量8.4%)を削減しました。この削減率を生産数と掛け合わせた場合、およそ6,011,649 kgCO2のCO2排出量を削減できたと推計されます。
JCCCA(全国地球温暖化防止活動センター)による2016年度の日本の一世帯当たり年間CO2排出量と比較した場合、当社のHDDスピンドルモーターの一製品が日本のおよそ1,330世帯分のCO2排出量分の削減に貢献できたと考えることができます。
HDDスピンドルモーター
国内情報端末(スマートフォン)向けACアダプタ
ミネベアミツミ製国内情報端末向けACアダプタは、従来品に対し内部構造/回路方式の見直しにより、小型/高容量/高効率化を実現しました。
1日3時間充電×21時間待機×1年(365日)での使用条件を想定した場合、CO2排出量は従来品より約9.7%削減します。
ACアダプタ
製品に含まれる環境負荷物質の管理
ミネベアミツミグループでは、製品含有化学物質に関する要領/基準等を発行し、お取引先様に対して有害物質を含まない製品(原材料、部品)の提供と、それらを実証するデータ、資料の提出をお願いしています。また、当社グループの受け入れ検査においてもXRF(蛍光X線分析装置)を用いて、RoHS指令が規定する有害物質の含有がないことを確認しています。
製品に含有する化学物質の管理方法
- ※1 (M)SDS((Material) Safety Data Sheet):
化学物質を安全に取り扱うために必要な情報(成分、性状、取り扱い法、緊急時の対処法など)を記載した情報伝達シート。 - ※2 ケムシェルパ(ChemSHERPA)は、JAMP が提供する化学物質、混合物の含有化学物質情報を伝達するための情報伝達シート。
今後の目標・課題
ミネベアミツミグループは、2019年度よりミネベアミツミグリーンプロダクツ制度を本格導入しました。社会の具体的なニーズを的確に察知するとともに、安全かつ省エネルギー、省資源、超寿命などに貢献する製品の開発に取り組んでいきます。