環境負荷物質削減の取り組み 過去掲載分(2015年)
基本的な考え方
工場からの流出、放出を発端とする水質汚濁、大気汚染や土壌汚染などは、周辺の地域社会にとって脅威になります。ミネベアグループでは、地域との共存が事業活動において不可欠であるとの考えから、環境負荷物質の削減に取り組んでいます。
2014年度の取り組み結果
ミネベアグループでは、各国、各地域の環境法令を遵守するために、法令基準を上回る自主基準を設け、日々の監視を行っています。当社グループのすべての工場は、漏えいや異臭、騒音、振動など周辺地域に迷惑をかけないよう、日常の監視や環境パトロールを一層強化しました。
事業所における取り組み
工場排水の浄化
ミネベアグループでは、排水を河川に放流する際、工場保有の排水処理設備で使用済みの排水を基準値内まで浄化しています。また、各国および所在地域の法令に従って、排水中のpH※1(ピーエッチ)、COD※2(化学的酸素要求量)、BOD※3(生物化学的酸素要求量)、SS※4(懸濁物質量)、ノルマルヘキサン抽出物質※5(油分)などを定期的に測定し、自主的に工場排水の監視を行っています。
- ※1 pH(ピーエッチ):酸性かアルカリ性かを示す尺度。pH7が中性。7より小さいほど酸性が強く、7より大きいほどアルカリ性が強い。
- ※2 COD(化学的酸素要求量):水中の有機物(汚れ)を酸化剤によって酸化するのに消費される酸素量。BOD測定と比べ短時間に測定できるが、信頼性は劣る。CODは一般的に海、湖沼への排水管理に用いられる。
- ※3 BOD(生物化学的酸素要求量):水中の有機物(汚れ)を微生物が分解するときに必要とする酸素量。BODが大きいほど水質は悪い。
測定に数日を要する。BODは一般的に河川への排出水監視に用いられる。 - ※4 SS(懸濁物質量):水中に浮遊している物質の量。数値が大きいほど水質汚濁が著しい。
- ※5 ノルマルヘキサン抽出物質:水に含まれる発揮しにくい油や洗剤などを、ノルマルヘキサンという薬品で抽出した物質。当報告書では鉱油量を表す。
藤沢工場における油流出事故(日本)
2014年5月、藤沢工場の排水溝から油を含んだ排水が河川に流出しました。直ちに関係行政の指導の下に拡散防止に取り組み、河川への流出を制御するとともに、河面に流出した油膜はオイルフェンスならびに吸着マットで回収しました。今回の事故により海への油の流出がなかったことと、回収した油を分析し、人体や生態系に有害な物質は含まれていないことを確認しています。
流出の原因は設備の経年劣化であることを特定し、藤沢市の指導の下、再発防止の対応を実施しています。また、そのほかの設備も点検し、同様の劣化がないことも確認しています。
今後このような事故を発生させないよう、再発防止に努めてまいります。
廃棄物処理場の視察(日本、タイ、中国ほか)
各工場、事業所から排出される廃棄物には、それぞれの工場、事業所内で再使用、再利用が難しいものがあります。こうした廃棄物は廃棄物処理業者に委託し、処分しています。
ミネベアグループでは、信頼できる処理業者を選定し、処分を委託するとともに、定期的に処分場に赴き、その処理、管理状態などの視察もしています。廃棄物の処理工程において、土壌、水質、大気などへの環境汚染を引き起こさないよう、今後も処理業者と協力し、取り組んでいきます。
2014年8月には、グループ環境対策委員会の委員長、副委員長も同行し、タイの汚泥、廃液処理会社(GENCO社)の処理場を視察し、処理が適切に行われていることや周辺への公害問題などがないことを確認しました。

2014年8月、タイGENCO社の汚泥、廃液処理場を視察
工場排水ゼロシステムの運用(タイ、中国)
ミネベアグループには製品の加工工程で大量の水を使用する工場があり、排水の削減に取り組んでいます。工場で使用された水は、各国各地域の環境法令基準値以下まで浄化され、放流されますが、それでも地域周辺への環境影響はゼロとは言えません。そこで、当社グループでは水使用量の多いタイ、中国の工場において「工場排水ゼロシステム」を導入し、放流する工場排水とその環境影響のゼロ化に取り組んでいます。
このシステムでは、従来、浄化・放流していた排水をさらに浄化し、全量を工場内の使用水に戻すことで、排水をなくします。現在、「工場排水ゼロシステム」はタイのバンパイン工場、アユタヤ工場、中国の上海工場、西岑工場で導入しています。

バンパイン工場の工場排水ゼロシステム

西岑工場の工場排水ゼロシステム建屋
PRTR物質の管理(日本)
日本国内の各事業所はPRTR法(化学物質排出把握管理促進法)に基づき、PRTR対象物質の取扱量、移動量を管理しています。
2014年度の報告実績
物質番号 | 物質名 | 取扱量 | 排出量 | 移動量 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
大気 | 水域 | 埋立て | 廃棄物 | |||
71 | 塩化第二鉄 | 20.00 | 0 | 0 | 0 | 0 |
31 | 三酸化アンチモン | 1.57 | 0 | 0 | 0 | 0.066 |
384 | 1-ブロモプロパン | 17.41 | 16.20 | 0.00 | 0.00 | 1.30 |
37 | ビスフェノールA | 1.28 | 0.00 | 0 | 0 | 0.00 |
438 | メチルナフタレン | 2.37 | 0.01 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 42.63 | 16.21 | 1.37 |
廃油流出防止訓練の実施(日本)
第一精密産業で行われた油流出防止訓練
ミネベアのグループ企業、第一精密産業株式会社は、2014年12月17日に廃油保管庫からの廃油流出を想定した緊急時対応訓練を実施しました。
第一精密産業株式会社は、東京都大田区の住宅地と接した地域に立地するため、緊急事態・事故への備えは重要です。訓練にはほぼ全員となる32名の従業員が参加し、油吸着材を用いた廃油流出の拡散防止策や雨水側溝への流入防止策、事故発生時の通報連絡方法などを訓練しました。
訓練により事故に備えた備品の使用方法や置き場所等も従業員間で再確認し、事故防止への意識も高まりました。
化学品漏洩時対応訓練の実施(中国)
中国の上海工場、西岑工場で化学品の漏出を想定した緊急事態対応訓練を実施しています。両工場の環境安全委員会では、万が一、化学物質が漏れた場合でも適切な処置を取ることで人的被害を最小限に抑え、環境汚染を起こさないようにするために、年1回、各生産部門の危険化学品取扱者、危険化学品納入業者、危険廃棄物回収業者、清掃業者を対象に対応訓練を実施しています。
2015年度は4月21日にて西岑工場で42名が参加して訓練を実施しました。また4月23日には上海工場でも38名が参加して訓練を行ないました。訓練では環境安全委員会の化学物質管理部会と、所轄の消防局の指導の下、危険化学品が漏れた場合の吸着材での拡散防止処置の実地訓練、人的被害が発生した場合の処置方法、緊急連絡方法を指導しました。

上海工場の化学品漏洩対応訓練

西岑工場の化学品漏洩対応訓練
今後の目標・課題
ミネベアグループは、引き続き国内外の環境法令を遵守した事業活動を行うとともに、過去に発生させた環境汚染について、浄化作業を進めていきます。