環境負荷物質削減の取り組み 過去掲載分(2011年)
基本的な考え方
工場からの流出、放出を発端とする水質汚濁や大気汚染、土壌汚染などは周辺の地域社会にとって脅威になります。地域と共存する企業を目指しているミネベアグループでは、環境負荷物質の削減は永続的に取り組まなければならない課題だと考えています。
当社グループの各工場では、各国、各地域の環境法令を遵守するために法令基準を上回る自主基準値を設けて、日々の監視を行っています。また工場からの漏洩や異臭、騒音、振動などの異常がないか、従業員による環境パトロールを実施しています。
2010年度の取り組み結果
ミネベアグループでは、タイ、中国の量産工場に代表されるように、工場内で発生した廃水は可能な限りリサイクルして工場外に排水しない「排水ゼロ」工場を目指しています。
しかし、現状ではまだすべてのグループ工場にこのシステムが導入されたわけではなく、工場保有の排水処理設備で使用済みの廃水を基準値内まで浄化して、周辺の河川に放流している工場もあります。これらの工場では、各国および所在地域の法令に従って、排水中のpH※1(ペーハー)、COD※2(化学的酸素要求量)、BOD※3(生物化学的酸素要求量)、SS※4(懸濁物質量)、ノルマルヘキサン抽出物質※5(油分)などを定期的に測定し、自主的に工場排水の監視を行っています。
2010年度、各工場の監視項目に異常は見られませんでした。また、これらに関係する苦情も寄せられていません。
- ※1 pH(ペーハー):酸性かアルアリ性かを示す尺度。pH7が中性。7より小さいほど酸性が強く、7より大きいほどアルカリ性が強い。
- ※2 COD(化学的酸素要求量):水中の有機物(汚れ)を酸化剤によって酸化するのに消費される酸素量。BOD測定と比べ短時間に測定できるが、信頼性は劣る。CODは一般的に海、湖沼への排水管理に用いられる。
- ※3 BOD(生物化学的酸素要求量):水中の有機物(汚れ)を微生物が分解するときに必要とする酸素量。BODが大きいほど水質は悪い。測定に数日を要する。BODは一般的に河川への排出水監視に用いられる。
- ※4 SS(懸濁物質量):水中に浮遊している物質の量。数値が大きいほど水質汚濁が著しい。
- ※5 ノルマルヘキサン抽出物質:水に含まれる揮発しにくい油や洗剤などを、ノルマルヘキサンという薬品で抽出した物質。当報告書では鉱油量を表す。
事業所における取り組み
土壌、地下水に対するリスク配慮(藤沢工場)
製造工程の中の表面処理工程では、水はもちろんのこと、何種類もの化学物質を使用しています。そして、そのほとんどが液状にして使用するために災害、事故、誤操作などによって液体が床に漏れたり、飛散する可能性があります。また、工程廃液を流す埋設配管、地下ピット等も経年劣化、地震などによる破損、液漏れの可能性があります。
そのため、これら緊急の事態を想定して表面処理工程設備のすべてをピット内から床上に嵩上げし、処理槽や液送配管など設備全体を見える化しました。すべての設備を床上設置に改良後、さらに床の耐薬品コーティングを強化し、防液堤も新たに設置しました。
化学物質漏洩時の応急処置訓練(上海工場)
機械加工において、化学物質の漏洩事故は事業活動における大きなリスクとなります。このような万一の事故に備えて上海工場では、環境安全委員会の化学物質部会が中心となって、化学物質漏洩時の応急処置訓練を定期的に実施しています。
緊急時対策用として常備されている液体吸収材を用いた化学物質の流出防止や使用後の液体吸収材の適正な処置方法などを的確に速やかに実施できるよう、日頃の訓練により備えています。



上海工場で実施された化学物質漏洩時の応急処置訓練の様子
PRTR対象物質の管理(日本)
日本国内の各事業所はPRTR法(化学物質排出把握管理促進法)に基づき、PRTR対象物質の取扱量、移動量を管理しています。
2010年度の報告実績
管理番号 | 物質名 | 物質名取扱量 | 排出量 | 移動量 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
大気 | 水域 | 埋立て | 廃棄物 | |||
31 | 三酸化アンチモン | 1.8 | - | - | - | 0.0903 |
185 | HCFC-225 | 1.05 | 0.99 | - | - | 0.06 |
232 | ニッケル化合物 | 0.8 | - | 0.01 | - | 0.34 |
384 | 1-ブロモプロパン | 26.65 | 24.53 | - | - | 2.12 |
土壌/地下水汚染に対する取り組み
浄化が完了した金ケ崎工場
ミネベアグループでは、かつてVOC(揮発性有機化合物)の塩素系有機溶剤により土壌、地下水汚染を発生させてしまった事業所があります。汚染のあった工場や工場跡地では、当社グループの責任において汚染の浄化作業が進められています。このうち、岩手県の金ケ崎工場は2011年3月に浄化を完了しました。
今後の目標・課題
ミネベアグループは、引き続き国内外の環境法令を遵守した事業活動を行うとともに、過去に発生させた環境汚染について、浄化作業を進めていきます。