RECRUIT

私の所属する部署では、ミネベアミツミ社内で使用する生産設備を開発製造しており、主にモーター製品を生産する設備を開発しています。

設備を必要とする事業部からの依頼を受け、最適なシステムを提案しつつ、オーダーに沿った自動化設備を開発し、生産性向上を図るのです。私は電気系統の設計を担当し、電気配線図面の作成や、電気部品の選定に携わっています。また、ロボットアーム等の機械を制御するソフトウェアの開発も行っています。

設備開発は機械系の担当と連携しておこない、設計後は組立、配線、ソフトウェア導入と進みます。実際にソフトウェアの動作を確認できるのは、開発工程のなかでも後半となるため、仮に想定通りの動きができなかった場合は修正が必要となり、機械系統まで迷惑がかかり、納期までの余裕もなくなってきます。最初の設計段階でいかに完成度を高められるかがその後の業務効率を左右するのです。

特に異常発生時の復帰動作処理には気を配っています。現場では非常停止や停電、手動による操作など、イレギュラーな動作も起こりうるからです。どのタイミングで問題が起きてもスムーズに復帰できるよう、上流工程の段階で考え得るトラブルをすべて洗い出す。これができるか否かに、スキルや経験の差が出ると感じています。

「上流工程に時間をかけることが大切だ」と強く実感したのは、入社3年目のことでした。過去に開発した設備の2号機を製作することになったのですが、「次の動作に移るまでの時間を短縮してほしい」という改善要望が出ていました。大量生産を担う工場では、0.1秒の遅れでも全体の生産効率に大きな影響が出ます。ソフトウェアの修正が必要でしたが、設計の都合上、どうしても根本から設計を見直さねばなりませんでした。さらに対象となる設備はタイ工場で稼働しており、現状の動作を把握することも難しい状態でした。

ソフトウェアをゼロから作り直すことを決め、稼働中の設備を撮影した動画を確認しながら、再び設計を始めました。納得いく設計となるまで、十数パターンは検討したと思います。2号機の立ち上げはタイで行われ、2週間の期間内で要望通りの動きとなることを確認せねばなりません。最終的に製造工程は0.5秒短縮され、生産性向上に貢献することができました。もし、初号機の設計段階で作業効率に気を配っていれば、そして修正がしやすい設計にしていれば、ゼロから作り直すこともなかったでしょう。上流工程の大切さを身に染みて知ってから、設計に向き合う姿勢が変わったと感じています。

現在は後進育成を意識し、新人でもスムーズにソフトウェア設計が上達できるような環境を作れたらと、手順書の作成から取り組んでいます。また、個人の”クセ”や能力によって、同じ動作でもプログラムの組み方は人によって異なります。中には非常に複雑なプログラムもあります。誰が設計しても簡潔で最適なプログラムに「標準化」できれば、業務全体の効率化にも繋がるのではと考えています。

そのためには、私自身の設計スキル向上も欠かせません。複雑な動作を複雑なまま設計するのではなく、どうすれば簡潔にわかりやすく設計できるか、常に意識して仕事にあたっています。将来的には、マイコン制御や電子回路といった未知の分野の知識も身につけたいですね。新たな制御技術を積極的に吸収することで、守備範囲の広い技術者になれたらと思います。