2011年

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チームの力と、一人一人の試行錯誤が道を切り開いた

画像:「壁にぶつかることもしょっちゅうでした」と振り返る西村 NEDO採択事業としてプロジェクトを進めるに当たり、開発チームに新たに4名のメンバーが配属された。そのうちの一人、西村真作は、「高度な技術の開発に携われるということで、非常にやりがいを感じましたね」と振り返る。

メンバー全員が集ってのミーティングは週1回程度。それ以外の時間は、メンバーそれぞれが担当する課題解決のために実験をひたすら繰り返し、研究に研究を重ねる日々が続いた。「磁束を制御するためには、磁石の形状や角度を変え、N極・S極の場所や磁束の角度を細かく変えて何度も試していくのですが、目に見えない磁束をコントロールするわけですから、なかなか思ったようにはいかないんですね。壁にぶつかることもしょっちゅうでした」。(西村)

しかも、NEDO採択事業として、あらかじめ期限や目標が明確に定められたプロジェクトである。「税金を使って研究をしている」という責任感が大きくのしかかる上、開発の進捗状況や見通しが悪ければ途中で助成が打ち切りになる可能性もあった。通常の開発プロジェクトと異なり、時間と責任によるプレッシャーがメンバー一人一人の肩に重く圧し掛かっていた。

そうした厳しい状況を打ち破り、プロジェクトを前に進めていったのは、メンバーたちの豊かな発想力だった。「夜、家で寝ていても何かアイデアを思いつくと、早く会社に行って試したくて、朝が待ち遠しかったですね」と山下が笑うように、誰もが常に新しいアイデアを探り、実行に移し続けていた。「やってみてうまくいかなければ、また次の案を出せばいい。それでもダメならまた次へ――。常に第二、第三の手を考え、挑戦し続けることが大事でした」と山下は振り返る。

メンバーの一人、チームの事務局役を担っていた小林修も「目標は一つでも、そこにたどり着くまでには無数の道筋があります。山下さんはもともとすごいアイデアマンだし、キャリアが浅いほかのメンバーたちも、目標に到達しようという強い意志を持って山下さんと一緒になってアイデアを考えていました」と話す。

画像:開発された高性能ボンド磁石(手前)と今後開発予定のモーター(奥)

開発された高性能ボンド磁石(手前)と今後開発予定のモーター(奥)

さらに、そうしたメンバーたちの奮闘を、力強い「パートナー」として支えてくれたのが、東北大学、大阪大学、長崎大学、静岡理工科大学という、連携先の各大学の研究者たちだった。NEDOの採択決定前、プロジェクトの方向性がまだ定まっていない段階からミーティングに参加し、メンバーたちと何度もディスカッションを重ねた。プロジェクトが動きだした後も、磁力低下のメカニズム検証、磁石の原料粉の物性評価など、基礎的な技術の検証・開発を担い、貴重な知見を提供し続けた。

「時には意見が分かれて、わたしたちの研究室に泊まり込んでもらって議論をしたこともありましたね。とにかく、彼らの持つ知恵をどんどん吸収しようという思いで取り組んでいたし、お互いに大きな刺激を受けた。このプロジェクト以外でも、必要な時にはいつでも協力しながら研究開発を進められる、その関係性が構築できたと思います」。(山下)

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