2011年

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技術で社会に貢献していく

今回のNEDO採択事業は、2011年3月をもって予定どおり助成期間を終了した。優しく滑らかに回転する小型モーターの30%の省資源化、5%の省エネ化に成功し、プロジェクト開始当初の目標を達成することができた。「世の中に対して恥ずかしくないものに仕上がったという自信はあります。正直なところ、かなりのプレッシャーの中で仕事をしていたので、肩の荷が下りたという思いもありますね(笑)」と山下は笑った。

一方、西村は「もちろんある程度の成果は出せたけれど、まだ『できた』と喜べるような段階ではない」と表情を引き締める。「磁石の開発はできても、それを使ったモーターの製品化はまだこれから。わたしたちエンジニアにとっては、自分が開発した技術が製品という形で世に出る、お客様のもとに届くというのが一番の喜びですし、製品化されて初めて完成と言えるはず。今はまだ、ステップを一つ上っただけという感覚です」。(西村)

製品化に向けては、まだまだ数多くのハードルが待ち受けている。自動車メーカーなどほかの企業とも共同で研究を進め、性能が高いだけではなく「売れる」要素を備えた製品を生み出していかなくてはならない。それに向け、西村たちの奮闘はまだまだ続いていくはずだ。

画像:「企業と大学のシナジー効果を発揮できる開発を、間違いなく増やしていかなければならない」と語る小林 それでも、今回のプロジェクトは、会社全体に大きな影響をもたらしている、と小林は指摘する。「もともとミネベアは『ものづくりの会社』という傾向が強く、技術開発にはそれほど積極的とは言えなかったのですが、今回のプロジェクトを通じて、『他社にない技術を開発していこう』という機運が生まれ始めているのを感じています。また、大学と連携した研究の形も今回のNEDOプロジェクトを通じて、非常に有意義であることを学びました。企業と大学がお互いに得意なものを持ち寄って、シナジー効果を発揮できる開発を、これからは間違いなく増やしていかなければならないと感じています」。(小林)

また、若手技術者の育成という点でも、世代の違うメンバーが協力して開発を進めた今回のプロジェクトには大きな意味があった。「若手技術者には、自分の開発したものが世の中に出て、社会に貢献していくという経験が圧倒的に足りていません。そういった面でも今回のプロジェクトは非常に良い機会になった。若手メンバー自身にもこの経験をエンジニアとしてよりスキルアップするためのきっかけにしたいという想いがあり、それが若手メンバーの頑張りにつながったのではないでしょうか」と小林は言葉を重ねる。

磁石の開発を通じたモーターの小型化、効率化は、今回のような環境負荷削減の面だけではなく、医療や福祉など、さまざまな分野での応用が期待されている技術でもある。ミネベアが技術を通じて、社会に貢献していける可能性はまだまだ、これからも大きく広がっていくことだろう。若い世代に向けて「世界に通用する専門家を目指して頑張ってほしい」とエールを贈る山下と、それを受けて「新しい技術を、世の中に一番に出せるような技術者に」と意気込みを語る西村。今回のプロジェクトを通じてまかれた種は、未来へ向けて少しずつ、けれど確かに芽吹き始めている。

画像:開発者のご紹介

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