コーポレートガバナンス

社外取締役との座談会ページに戻る

CFO×社外取締役対談

次の10年の飛躍を実現するための経営監督機能強化の取り組みについて

新たに発足したサスティナビリティ推進部門を担当する取締役 上原周二と社外取締役 松村敦子氏が、経営監督機能強化を主題に率直な意見交換を行いました。

社外取締役 松村 敦子
社外取締役
松村 敦子

2018 年6 月に当社社外取締役に就任。
大学教授として国際経済学に関する専門的見識に加え、教育者として幅広い実績を有しており、その豊富な知識・経験を当社の経営に反映。
取締役 専務執行役員 上原 周二
取締役 専務執行役員
上原 周二

東京本部本部長 兼 経理財務部門担当
兼 サスティナビリティ推進部門担当

2019年3月期について

振り返りをお願いします。

上原:上半期は順調でした。下半期に入って米中貿易摩擦の影響で売上、利益ともに予想外に伸びなかったということはありましたが、大きな流れとしてはほぼ計画通りであったと思います。ボラティリティの高い商品もあり、その部分の影響があったと感じています。ただ、下半期にM&Aによるユーシンとの経営統合に目処をつけることができたこともあり、売上高1兆円・営業利益1,000億円の土台はできましたので、ほぼ順調な1年だったと考えています。

松村:米中貿易摩擦により多くのグローバル企業が悪影響を受けるなか、当社はユーシンとの経営統合を実現し、経営陣の強いリーダーシップのもとに次の10年に向けた長期ビジョンを掲げることができたことは幸いでした。

松村取締役は就任初年度でしたが、特に印象に残ったことは何ですか。

松村:ミネベアミツミグループでは毎年3月に東京本部で各国の幹部級社員による事業計画検討会が開催され、4日間連続で、次年度以降の事業計画と運営方針を検討しています。また秋には、事業部門会議が開かれ、当期の事業の状況・計画の進捗について数日にわたり議論しています。こうした長丁場の真剣な議論が非常に印象的で、ミネベアミツミグループがその優れた特徴を生かしつつ、様々な課題に向き合いながら一体となって戦っているという強い意気込みを感じました。

上原:当社の経営資源を各事業にどう振り向けていくか、今後はこれまで以上に難しい決断に迫られると思います。社外役員の皆様にもこれまで以上に忌憚のないご意見、アドバイスをいただきたいと思っています。

長期ビジョン達成に向けて

売上高2.5兆円・営業利益2,500億円という目標にはどういう印象をお持ちですか。

松村:当社の優れた技術力と高いシナジー効果をもつM&Aにより、快適で安心安全な社会に資する製品ラインナップも広がりつつあります。高い目標であるとは思いますが、ここまでの会社の成長ペースからすると、チャレンジしがいのある目標といえるのではないでしょうか。

上原:はい、かなり高い目標であることは事実だと思います。しかし、我々が持っている機械加工、電子機器、ミツミ、ユーシン各事業の成長と、シナジーが期待できる事業とのM&Aにより、2.5兆円という売上高は我々がチャレンジすべき妥当な目標値ではないかと思っています。

高い目標達成のためには経営基盤の強化も必要と思いますが、直近の組織改編の狙いについて教えてください。

上原:従来から当社では執行と監視の組織を分離してそれぞれ独立して運営してきました。しかし、CSRは人事・総務部門、環境問題や貿易法令遵守といった事項は独立した社長直轄組織が推進しており、組織としてまとまっていませんでした。今回、サスティナビリティ推進部門を新たに設置し、これらの組織をまとめたことにより、全社的視点でより機動的な対応ができるようになりました。サスティナビリティ推進部門の設置は、売上高2.5兆円の実現に向けた将来のための布石と考えています。

松村:今回の組織改編は今後のコーポレート・ガバナンスの推進という点において非常に重要な一歩だと思っています。目標が高くなることにより社内の監督機能も相応に強化していく必要がありますし、社外から見ても非常にわかりやすい体制ができたと思います。

今回の組織改編は、元々あった機能の強化と捉えてよろしいですか。

上原:ガバナンスにおいては、例えば不正経理などのリスクがありますが、当社は従来から経理部門と内部統制推進室を分離・独立させています。また、公認会計士、監査役による監査に加え、内部監査室が業務における不正の有無の確認を全世界をカバーする形で動いています。その報告は各地域・会社の内部監査レポートという形で直接監査役と社外取締役に提出されており、執行と監視の分離が適切に機能していると思います。一方、ステークホルダーの皆様からは、事業規模が今まで以上に大きく拡大した時にも執行と監視の分離が適切に機能するか疑念を抱かれるかもしれません。これからの検討課題ではありますが、いずれはこのサスティナビリティ推進部門を地域別に拡大させることも視野に入れて考えています。各地の執行部隊が適正に業務を行っているかを監視できる仕組みを今後より強化していきたいと思います。

松村:今回の組織改編による体制も、今後時代の要請に応じて強化していくとのお話はとても重要です。新たな体制の下、専門家や監査法人を活用しつつ法令遵守にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。社外取締役としては監査役との定期会合において、内部監査室の方から海外拠点も含めた内部監査の結果を詳細に説明していただき、意見交換の中でさまざまな観点から課題と改善点を議論しています。また、「サスティナビリティ」を重視しステークホルダーの信頼を得るための方策としては、さまざまな形での社会貢献をはじめ、働き方改革なども含めた幅広い分野におけるガバナンスが重要です。製造業として事業展開するなかで、環境汚染などのリスクに備えておくことも大切だと思います。

上原:環境に関しては、当社の社是の1つに「地域社会への貢献」があり、環境問題が現在のように注目される前から、環境影響物質の全廃など環境保全の取り組みを各国、各工場で推進してきました。今後はサスティナビリティ推進部門として、さらに環境保全に積極的に取り組んでいきたいと考えています。

松村:各工場では「環境パトロール」と称して、現場をチェックする取り組みを進めているということですが、これからも漏れがないように実施していただきたいと思います。
また、今年度から自社製品に「グリーンプロダクツ」という認定制度を導入して、環境貢献型製品をさらに充実させて10年後には全売上高の85%以上とする目標を立てたと聞いています。これは当社グループの持続的成長において重要な意味を持つ取り組みとして大いに評価しています。

M&Aについては常に多くの案件を検討しているような状況ですか。

上原:M&Aはこれまでの実績が評価され、案件の検討機会が増えています。既存事業とのシナジーが十分発揮できるような候補を絞り込み、取締役会でしっかり検討していますので、その結果、中止する案件も多くあります。

社内からの説明は十分でしょうか。

松村:案件の経緯、技術的なシナジー効果、リスクなどについて詳しく説明していただいています。直近ではユーシンとのM&Aが実現しましたが、その際にも詳細にご説明いただき、当社のDNAである「真摯なものづくり」に共鳴するパートナーが選定され、高いシナジー効果が期待できる統合であると判断しました。
また、ミツミ電機との統合において功を奏した積極的な人材交流についても説明を受けました。この経験は今回のユーシンとの統合においても生かされ、効果的な人材交流によってスピーディに実行力のあるチームが組まれることで、人材面での統合のメリットも発揮されていくと思います。貝沼社長が言われる人材シナジーの大切さに関して、的確に具現化する体制を築くことが長期的な目標の達成に通じると考えます。

今後の課題はどんなことでしょうか。

上原:やはり人材の育成だと考えています。世界規模で事業が拡大していくなかで、日本だけでなく海外での現地人材育成もこれから一層進めていかなければいけません。先ほど申し上げたサスティナビリティ推進部門を将来にわたって各地域に拡大する可能性もあり、優秀な人材をどのように確保するか、もしくは育成していくかということが課題です。

松村:ダイバーシティの観点からみると、女性の積極的活用という面においてはさらに進展させる余地があると思います。同時に、女性社員の声を反映させる仕組みを積極的に導入することも大事だと思っています。当社でもトップ層で活躍する女性が増えれば、女性社員全体の仕事の活性化と意識向上により業績アップも期待できます。同時に職場環境の充実ということで考えると、男性も含めて働きやすい職場を実現するためには、超過勤務時間の削減も重要だと感じており、今後も注視していきたいと思っています。

上原:確かに仰る点も課題であると思います。ダイバーシティのなかでも女性活躍推進に関しては、グループ執行役員には女性が2人いますし、海外の経理部門の責任者は大部分が女性です。一方で機械加工や電子機器といったいわゆる技術系では、新卒の女性社員が少ないという課題がありますが、タイの工場では女性エンジニアが多数現場に入る体制をとっていますし、営業部門においても女性スタッフがグローバルに活躍していただく機会が増えていますので、5年先、10年先を期待していただければと思っています。

松村:当社グループの東南アジアでの女性労働力の貢献は大きいと感じています。今後は国内でも、適切な育成により女性の活躍の場が拡大していくことを期待しています。

2020年3月期はどのように貢献していきたいとお考えですか。

松村:外部の視点から、当社グループの経営において誤った意思決定がなされないように監視していきます。当社グループの運営は非常にスムーズに行われているため私のほうもスピード感を持って対応し、ステークホルダーに分かり易い形で、目標達成に向けて的確な助言を行っていきたいと考えております。

上原:引き続き大所高所からご指導いただきたいと思いますので、宜しくお願いします。

社外取締役との座談会ページに戻る

ページの先頭へ戻る

Follow Us

Twitter Youtube