質疑応答要旨
更新日: 2016年5月13日
2016年3月期 決算説明会(2016年5月10日)
注:内容につきましては、理解し易いように部分的に加筆・修正してあります。
ご質問
- LEDバックライトは4~6月の売上見込みが今年は厳しいとのことですが、1~3月を100とした指数でもかまわないので、1Q以降の売上水準を教えてください。
- LEDバックライトでの北米顧客の新モデルスマホ向けの今期のシェアの想定は、昨年比でどうなっていますか。
- 高級スマホのディスプレイは、LEDバックライトの必要無い有機ELへ今後数年で移行していくのが自然な状況と思いますが、代わりに自動車向けLEDバックライトを伸ばすといっても規模的には劣ると思います。LEDバックライトの戦略として、今後償却費がほとんどなくなっていく中で、例えば中国スマホ向けの需要を取りにいって量を重視するのか、それとも規模はそこまで追わず、償却が下がるので売上が下がっても良いという認識なのか、どのような位置づけですか。
- ミツミ電機との統合について、今期の後半にかけて統合準備期間中に何をしていきたいのですか。来年3月に向けてどのようなスタートダッシュをするのですか。
- ミネベアイズムを移植するというのは、実際にミツミ電機の工場を見て、機械設備を置き変える必要があるということですか、それともモノづくりに対する考え方の問題ですか。
- 前回伺った通り、人のリストラは考えていないのですか。
- ミツミ電機のバランスシートを見ると、過去数年間で有形固定資産が大きく減少していて、部品の内製を全然していないように見受けられます。これでは、ミネベアの製造技術を導入してもモノを外から購買して組立てているだけで、付加価値を付けるのは難しいのではという印象を受けてしまいます。手っ取り早く、ミツミ電機の部品製造をミネベアが引き受けるほうが即効性があるのではないでしょうか。
- ボールベアリングの状況ですが、今のマクロ経済環境をみると、需要が減速してもおかしくないように思いますが、足元は依然として販売好調のようです。現在の外部環境をどう認識していますか。今後のボールベアリングの事業環境はどうなると考えていますか。
- シェアが上がっているというより、様々な製品で一台当たりの使用数が上がっているのですか。
- LEDバックライトに対しての更なる投資を控えていくという話がありましたが、1年前のこの場ではLEDバックライトを新たな事業の柱にするという発言がありました。わずか1年でひとつの柱が無くなったように聞こえますが、何があってそのような判断に至ったのですか。お客様からの需要のアップダウンを受け入れなければならない業界で、それをどうやって分散するかが部品会社の経営の要素ですが、たった1社の顧客が方針を変えたので柱の事業がなくなったということであれば、経営判断として疑問に思います。
- 本日のミツミ電機の決算は非常に厳しい内容で、17/3期計画も正直なところ達成が難しい印象を受けました。そのミツミと統合するにあたって、昨年12月に統合を発表した時は対等合併と言っていたのが、今日はミネベアイズムを移植すると言っていて、改めて危機感が出てきたのか、話が変わっているようにも聞こえます。いまいちど、「対等」とは具体的に何をしていく可能性があるのか教えてください。
- モーター事業の17/3期計画について、自動車向けを中心に順調ということですが、もう少し具体的に教えてください。
- 具体的にどのような分野で伸ばすのですか。
- ミツミ電機との統合費用がかさんだとのことですが、4Qの調整額がかなりふくらんでいるのはそのためですか。今年度の統合費用はどの程度を見込んでいて、来年度は減るのか残るのか、方向感を教えてください。
- 今期の為替による営業利益への影響見込み額はマイナス100億円とのことですが、ミネベアの営業利益に最も影響するドル/バーツについては今期の想定レートは前期とあまり変わっていないので、実際には外貨から円への換算影響が大きいのですか。
- LEDバックライトの今期の売上計画はどうなっていますか。
- カンボジア工場の第3棟を建設中とのことですが、ミツミ電機との統合で活用できますか。
ご質問と回答
- LEDバックライトは4~6月の売上見込みが今年は厳しいとのことですが、1~3月を100とした指数でもかまわないので、1Q以降の売上水準を教えてください。
- 電子デバイスの数値ですが、16/3期4Qの売上は3Qの約半分の約466億円、17/3期1Qの計画は329億円、2Qは567億円で見込んでいます。
- LEDバックライトでの北米顧客の新モデルスマホ向けの今期のシェアの想定は、昨年比でどうなっていますか。
- 現段階では、16/3期と同程度を想定しています。
- 高級スマホのディスプレイは、LEDバックライトの必要無い有機ELへ今後数年で移行していくのが自然な状況と思いますが、代わりに自動車向けLEDバックライトを伸ばすといっても規模的には劣ると思います。LEDバックライトの戦略として、今後償却費がほとんどなくなっていく中で、例えば中国スマホ向けの需要を取りにいって量を重視するのか、それとも規模はそこまで追わず、償却が下がるので売上が下がっても良いという認識なのか、どのような位置づけですか。
- 有機ELへの移行は、現段階では未だ可能性の話と認識していますが、このような事態も想定されるからこそ、社長就任以来、複合製品の開発を手掛けてきました。LEDバックライトの利益率が落ちてきた段階になったときに、単に低価格スマホ向け需要を追いかけることが当社にとって良いのかどうかは、今は判断できません。それよりも、かつてスピーカー、キーボードや振動モーターから撤退を決断した時のように、思い切って次の展開に向けて人の異動をして行くやり方もあります。今開発している新製品が出て来た時に、その製造に人材や資源を振り向けることも重要と考えています。
- ミツミ電機との統合について、今期の後半にかけて統合準備期間中に何をしていきたいのですか。来年3月に向けてどのようなスタートダッシュをするのですか。
- 統合に向けて、例えばシステムや人の処遇など様々なことへの準備をしなくてはなりません。しかし最も重要なのは、ミツミ電機の収益改善です。そのための一番な重要な経営施策は、各国での独禁法のクリアランスを頂いた後に、私どもの製造のキーメンバーから現地のあらゆる階層を指導して、ミネベアイズムをミツミ電機に移植させて頂くことです。これをいかに早期に実現できるかが、勝敗のカギになります。二番目に、人の交流です。現在私どもが進めている様々な新製品開発に人が足りないため、ミツミ電機から力を借りて早い時期に実現させていくことが重要です。このような人の交流を徹底的にやるつもりです。
- ミネベアイズムを移植するというのは、実際にミツミ電機の工場を見て、機械設備を置き変える必要があるということですか、それともモノづくりに対する考え方の問題ですか。
- 機械を変えなければならないところが無いわけではありません。しかし、モノづくりに対する姿勢や考え方は、当社とかなり異なるようです。資材、物流などはすべて見直すことになると思いますが、一番重要視しているのは、モノづくりに対する取り組みのあり方です。12月に予定されているミツミ電機の臨時株主総会が終わってクリアになってから、具体的に話せるようになると思います。
- 前回伺った通り、人のリストラは考えていないのですか。
- いまは考えていません。
- ミツミ電機のバランスシートを見ると、過去数年間で有形固定資産が大きく減少していて、部品の内製を全然していないように見受けられます。これでは、ミネベアの製造技術を導入してもモノを外から購買して組立てているだけで、付加価値を付けるのは難しいのではという印象を受けてしまいます。手っ取り早く、ミツミ電機の部品製造をミネベアが引き受けるほうが即効性があるのではないでしょうか。
- この場で細かく申し上げることはできませんが、我々の製造への考え方を移植することが、ミツミ電機の改善につながると考えています。
- ボールベアリングの状況ですが、今のマクロ経済環境をみると、需要が減速してもおかしくないように思いますが、足元は依然として販売好調のようです。現在の外部環境をどう認識していますか。今後のボールベアリングの事業環境はどうなると考えていますか。
- ボールベアリングは非常に強いです。2月の旧正月は、シンガポールでは全日稼働しました。3月の外販は1億6,500万個で過去最高となり、4月も1億5,900万個と、ほとんど落ちていません。今年はどこかの月で1億7,000万個を出せると思っています。なぜこんなに強いのかとよく聞かれますが、実際に売れているのです。お客様からの内示も頂いており、いまのところボールベアリングに減速感はありません。
- シェアが上がっているというより、様々な製品で一台当たりの使用数が上がっているのですか。
- シェアも上がっていると思います。現在、中国のベアリングメーカーはおとなしく、また中国のお客様も高級品にかなりシフトしてきているので、高品質なボールベアリングを得意とするミネベアのシェアが上がってきていると思われます。私の持論である「高級品が伸びればミネベアは伸びる」が、ボールベアリング事業を見る限りそのまま現実になってきています。
- LEDバックライトに対しての更なる投資を控えていくという話がありましたが、1年前のこの場ではLEDバックライトを新たな事業の柱にするという発言がありました。わずか1年でひとつの柱が無くなったように聞こえますが、何があってそのような判断に至ったのですか。お客様からの需要のアップダウンを受け入れなければならない業界で、それをどうやって分散するかが部品会社の経営の要素ですが、たった1社の顧客が方針を変えたので柱の事業がなくなったということであれば、経営判断として疑問に思います。
- LEDバックライトへの有機ELの脅威について、仮定の話を事実とするようなお話についてはお答えが難しいのですが、LEDバックライトのサプライチェーンで手掛けている開発品の仕上がりが非常に良く、そう簡単に有機ELが伸びてくるとは考えていません。ただ、仮に有機ELへの移行が進むとして、本当に高級スマホにLEDバックライトが使用されなくなる時が来たとき、低価格スマホメーカーが液晶を使っているかはわかりませんが、テクノロジーの移行が本当にあったときに備えて、対応策を考えることはもちろん必要でしょう。今言えるのは、サプライチェーンで良いものが開発できてきて、LEDバックライトを今まで通りひとつの柱として維持していく意気込みでやっているということです。
- 本日のミツミ電機の決算は非常に厳しい内容で、17/3期計画も正直なところ達成が難しい印象を受けました。そのミツミと統合するにあたって、昨年12月に統合を発表した時は対等合併と言っていたのが、今日はミネベアイズムを移植すると言っていて、改めて危機感が出てきたのか、話が変わっているようにも聞こえます。いまいちど、「対等」とは具体的に何をしていく可能性があるのか教えてください。
- 正確に聞いて頂きたいところですが、初めから「対等」とは申し上げておりません。「対等の精神」と申し上げています。であればこそ、社名も変更します。なぜかというと、ミツミ電機には優秀な技術者がたくさんいて、我々もその力をお借りして、また新しいものを生み出していかなければなりません。そのモチベーションを壊したくありません。その意味で「対等の精神」です。
製造の現場では、ミツミ電機側もなぜ勝てないのか理解されています。ミツミ電機側にも、デューディリジェンスの過程でミネベアを実際に見てもらっています。両社で一致しているのは、ミネベアの製造のやり方をミツミ電機にも採用して頂けると、かなり違った会社になるということです。イズムというと上から目線に聞こえるのかもしれませんが、それを申し上げただけです。逆にミツミ電機のものづくりをミネベアに入れるという話はこれまでのところありません。終始一貫、ミネベアの超精密金型技術をミツミ電機に導入したときに、どういったことができるのだろうか、ミネベアのLEDバックライトのような大規模生産の垂直立ち上げをどうやって実現するのか、ノウハウを我々から移植させて頂くということです。
- モーター事業の17/3期計画について、自動車向けを中心に順調ということですが、もう少し具体的に教えてください。
- モーター事業の今期売上計画は、円高想定のためほぼ横ばいとなっています。ただし、為替レートは前期が1ドル=約120円、今期想定は105円のため、実質的には増収です。利益面では、具体的な数値は開示していませんが、円高想定を織り込んでも増益を見込んでいます。
- 具体的にどのような分野で伸ばすのですか。
- モーター全般に調子が良く、ステッピングモーター、DCブラシレスモーターを中心に非常に堅調に推移しています。また、社内ではEMTと呼んでいるヨーロッパの自動車関連のモーターも堅調に推移しています。
- ミツミ電機との統合費用がかさんだとのことですが、4Qの調整額がかなりふくらんでいるのはそのためですか。今年度の統合費用はどの程度を見込んでいて、来年度は減るのか残るのか、方向感を教えてください。
- 統合費用以外にもERP導入も進めており、今期の本社経費は20億円の増加を見込んでいます。
- 今期の為替による営業利益への影響見込み額はマイナス100億円とのことですが、ミネベアの営業利益に最も影響するドル/バーツについては今期の想定レートは前期とあまり変わっていないので、実際には外貨から円への換算影響が大きいのですか。
- 円換算以外の影響も一部入っています。
- LEDバックライトの今期の売上計画はどうなっていますか。
- 今期の電子デバイスの売上2,111億円はほぼLEDバックライトです。それ以外の部分はアセンブリーの仕事が多かったのですが、今期はほとんど見込んでいません。
- カンボジア工場の第3棟を建設中とのことですが、ミツミ電機との統合で活用できますか。
- 各国での独禁法のクリアランスを頂いてからでないと具体的な検討はできませんが、確かにカンボジアでの生産は大きな選択肢です。製造を移管しなければならない、あるいはコストの低いところで作らなければならないのであれば、カンボジア工場の活用は理屈としては考えられます。これ以上のことは現時点では差し控えさせていただきます。