質疑応答要旨
更新日: 2011年8月5日
2012年3月期 第1四半期決算説明電話会議(2011年7月29日)
注:内容につきましては、理解し易いように部分的に加筆・修正してあります。
ご質問
- この第1四半期の営業利益は会社計画から下振れしましたが、中間期、通期の業績計画は変更されませんでした。第2四半期以降の業績回復の手応えについて教えて下さい。
- LEDバックライトで大型受注を獲得したとのことですが、そのタブレットPCのメーカー名はどこですか?
- 震災影響のような一時的影響がなかったとすれば、第1四半期の営業利益はどうなっていたでしょうか?
- 主要製品の販売状況を教えて下さい。
- HDDスピンドルモーターの第2四半期の損益見通しは?
- 第1四半期で、人件費や新工場の立ち上げなど費用の増加があったと思いますが、前四半期比でどのくらいの影響があったのでしょうか?
- 今期のLEDバックライトの売上イメージを教えて下さい。
- LEDバックライトの収益寄与はどうなるでしょうか?
- 回転機器セグメントの第2四半期見通しは?
- 第1四半期の営業利益が計画より下振れた要因を教えて下さい。
- HDDスピンドルモーターは製品の値上げが達成できればさらに利益が上積みされるのですか?
- 情報モーターの第1四半期の状況は?
- カンボジアでの小型モーター生産の展開は?
ご質問と回答
- この第1四半期の営業利益は会社計画から下振れしましたが、中間期、通期の業績計画は変更されませんでした。第2四半期以降の業績回復の手応えについて教えて下さい。
- 機械加工品セグメント、回転機器セグメント、LEDバックライトは、この第1四半期と第2四半期では全然違う結果になると思います。
利益率の一番高い機械加工品セグメントですが、ボールベアリングにつきましては、第1四半期は自動車やOA機器向けは東日本震災の影響で低迷しましたが、結果的に外販は好調でした。しかし残念ながら内販は、我々が考えていた販売数量よりは少なくなりました。そして生産数量が月を追うごとに増加したことにより、大きな未実現利益が発生しました。第2四半期においては、外販も内販も増加し、生産数量は想定を超えるレベルになることで、製造原価が下がり販売も増加しますので業績はもう一段良くなると考えております。ピボットアッセンブリーの販売は、第1四半期は月3,200万個の販売でしたが、第2四半期は月3,500万個に増加すると見込んでおりますので、ここも一段と良くなるのではないかと思われます。航空機向け製品につきましても、ボーイング787が納入され始めることにより、この機体向けのサプライチェーンが動き始めると思われますのでマイナスの要素はありません。これらにより機械加工品セグメントは第2四半期で相当大きく回復すると考えております。
回転機器セグメントにおきましては、懸案であったHDDスピンドルモーターが第2四半期で収支均衡化できるのではないかと思っております。4月は震災の影響で大分悪かったのですが、月を追うごとに生産販売数量が回復し、6月は収支均衡に近いところまで回復しましたので、第2四半期も改善が進むものと思われます。情報モーターも一段と販売数量が増えて売上も増えると思います。ここで一つだけ我々が影響度合いを掴み切れていないのが、レアアースを含むマグネットの原材料価格高騰の影響です。このマグネット高騰の影響は、5月時点では今期は12億円のマイナス影響があると想定していましたが、現在では30~50億円のマイナス影響があるのではないかと想定しています。これを全額値上げできるとは思いませんが、すでに値上げ交渉を始めております。この交渉の成果がどうなるかはまだわかっておりません。ですから回転機器セグメントの第2四半期は、売上は確実に増えると思いますが、損益がどうなるかはまだ分かっていません。第1四半期でのマグネット関係の原材料高騰の影響は数千万円でしたが、これが月を追うごとに増加すると見込まれます。
次に電子機器セグメントですが、この損益悪化が第1四半期で会社計画の営業利益を下回った原因の一つでした。計測機器は、自動車向けが大幅に減少しており、2ケタの利益率が取れているものの利益の絶対額が減少しました。LEDバックライトは、震災の影響により重要部材が手に入らないという事態が起き、減産を余儀なくされました。受注は好調でしたので、部材調達の問題が解決した後、急激な増産を行いましたが、そのためコストが増加し、想定していたような利益は出ませんでした。特に4~5月は大きな赤字を出しましたが、6月は黒字に戻りました。第2四半期は、売上、利益ともに大きく改善すると考えております。
- LEDバックライトで大型受注を獲得したとのことですが、そのタブレットPCのメーカー名はどこですか?
- ご想像にお任せします。蘇州新工場とタイのロッブリ工場の生産能力拡大でスマートフォンやタブレットPC向け製品の増加に対応しようと考えています。今期は相当大きく売上が増加しますので、あとは利益率がどこまで改善できるかということになります。
- 震災影響のような一時的影響がなかったとすれば、第1四半期の営業利益はどうなっていたでしょうか?
- 難しいですが、35~36億円くらいだったのではないでしょうか。円高やタイバーツ高による影響や、人件費上昇の影響などいろんな要素も絡み合っていたと思います。ですので、これに対応するコストダウンをきちんとやっていかなければなりません。機械加工品セグメントも、4~5月はあまりいい状況ではなく、6月でもまだ通常のいいベースには戻っていませんでした。7~9月で通常ベースに戻るのではないかと思います。
- 主要製品の販売状況を教えて下さい。
- ボールベアリングは、4月の外販が1億2,700万個、内販が7,300万個、合計2億個で、5月は外販が1億2,700万個、内販が8,100万個、合計2億800万個、6月は外販が1億3,000万個、内販が8,400万個、合計2億1,400万個でした。第2四半期は夏休みのマイナス影響がありますが、外販が月1億2,700万個、内販が8,900万個、合計で2億1,700万個を見込んでおります。ピボットアッセンブリーは、第1四半期は月3,200万個でしたが、第2四半期はHDDの生産も増える見通しですので月3,500万個に増加すると見込んでいます。HDDスピンドルモーターは、第1四半期は前四半期比で横ばいくらいの販売数量でした。第2四半期はHDD市場が拡大しますので、これに合わせて販売が順調に拡大するものと考えています。
- HDDスピンドルモーターの第2四半期の損益見通しは?
- 損益分岐点は製品構成によって若干変わりますが、第2四半期は月平均ベースでこれを越えられると考えています。一つだけ懸念しているのは、タイバーツがUS$に対して切り上がっており、その影響がどのくらいになるのかが不安材料です。これも含めてコストダウンができれば、損益分岐点は越えられると考えています。前期に行ったタイの生産ライン再編の効果も出ています。
- 第1四半期で、人件費や新工場の立ち上げなど費用の増加があったと思いますが、前四半期比でどのくらいの影響があったのでしょうか?
- 蘇州とカンボジアの新工場につきましては、まだほとんど販売までには至っていません。そのため原価の高い仕掛品も含めた出荷前の在庫があり、億円単位での影響がありました。 人件費は単純に比較はできませんが、タイでは3~4%の上昇、中国の華南地区は15%くらいの上昇、上海でも10%くらいの上昇がありました。第1四半期では、まだ1ヶ月分くらいしか影響が出ていませんので、それほどではありませんがそれでも億円単位の影響が出ました。販管費でみますと、給与や賞与の引当金、それに開発費としての人件費も含め前四半期比で3億円くらいの人件費上昇の影響があったかもしれません。あとは新工場立ち上げのための出張などで海外渡航費が3億円くらい増えました。あとは売上の増加に伴い物流費が増えました。
- 今期のLEDバックライトの売上イメージを教えて下さい。
- 為替影響が実際にどうなるかはわかりませんが、計画レートであれば350~360億円の売上になると思います。
- LEDバックライトの収益寄与はどうなるでしょうか?
- 6月は黒字になっており、7~9月も順調に行けば1ケタ後半の利益率になると思います。今は蘇州新工場の立ち上げを行っているため固定費が上昇していますので、製品構成にもよりますが損益分岐点は月23~25億円くらいになると思います。今後は販売数量が増加するため1個当たりの開発費負担が減少し、損益分岐点が下がると考えています。
- 回転機器セグメントの第2四半期見通しは?
- 売上については確実に増加すると思いますが、レアアースを含むマグネット価格の上昇がまだ良く見えていません。材料を先取りして確保するなどいろんな対策を行っていますが、急激に価格が上昇しています。第2四半期でも震災の影響がまだあるかもしれませんが、販売数量が増えますので、このマグネット価格の影響を除けば確実に黒字になると思います。値上げ交渉は始めて2週間足らずですので、まだ状況は掴み切れていません。
- 第1四半期の営業利益が計画より下振れた要因を教えて下さい。
- 下振れたということでは、ボールベアリングとLEDバックライトの利益が下振れました。LEDバックライトは、減益見通しではありましたが黒字想定でしたので、赤字になったことは大きなマイナスになりました。減産を余儀なくされましたが受注は入っておりましたので、納期遅れに対し残業代をかけて挽回するなど相当な無理と無駄が発生しました。ボールベアリングは4月から6月にかけて生産数量を引き上げておりますので、未実現利益が数億円発生しました。第2四半期も未実現利益が発生すると思いますが、原価の下がった在庫が販売されることで順調に利益が出てくると思います。
- HDDスピンドルモーターは製品の値上げが達成できればさらに利益が上積みされるのですか?
- HDDスピンドルモーターでも若干のレアアースを含めたマグネット価格上昇の影響を見込んでいますが、値上げ交渉はこれからで、計画に入れていません。他の情報モーターなどは既に値上げを打診しています。レアアースを使う情報モーターとしては、DCブラシレスモーター、振動モーターなどがあります。レアアースは今後も価格が上がっていくことを想定していますが、本当にどこまで影響が出るのかはっきりとはわかりません。値上げは実際に上がった分に対して交渉していくことになると思います。
- 情報モーターの第1四半期の状況は?
- OA機器向けステッピングモーターは4月が非常に厳しかったのですが、5月、6月で順調に利益を出しています。第2四半期は販売数量が一段と増える見通しです。DCブラシ付モーターと振動モーターの赤字が続いていますが、カンボジアでの生産拡大による原価低減がポイントになります。
- カンボジアでの小型モーター生産の展開は?
- 非常に大きな工場になる計画で、DCブラシ付モーター、振動モーター、マイクロアクチュエーターをここに集中させたいと考えています。マイクロアクチュエーターは7割が外注になっているため、早く内製にシフトしなければなりません。カンボジアは、中国やタイ、マレーシアと比べても人件費が大分安くなります。今回の震災で、一つのモーターを一カ所の生産拠点だけで生産することには大きなリスクがあると考えるようになりました。大きなカンボジア自社工場が完成すれば、生産を移管できたり、小さな生産ラインをそこに作ることができるようになります。カンボジアは基本的にタイの生産拠点のサテライト工場になります。タイで精密な部品を生産して、カンボジアで組み立てる形になります。カンボジアに部品を輸送しますので、先に申し上げたような小型のモーターから生産をスタートさせたいと考えています。その後にスペースがあれば、他のモーターも入れていきたいと思っています。これは既存の工場から完全に移管するのではなく、複数の工場で生産をしていきたいと考えています。