2005年
2005年10月18日
ミネベア株式会社
高輝度・高効率・超薄型の新型LEDバックライトを開発
ミネベア株式会社(以下「ミネベア」)は、LEDメーカー(日亜化学工業株式会社)の協力を得て高輝度・高効率・超薄型の新型LEDバックライトの開発に成功致しました。その詳細は、2005年10月19日からパシフィコ横浜で開催される『FPD International 2005』フォーラムE2セッションで発表の予定です。
近年、液晶ディスプレイの発展は目覚しく、携帯電話やカーナビ、テレビなどその需要は急速に増加しています。これら液晶ディスプレイは自己発光しない為に背面配置しているバックライトが必要不可欠です。バックライトに対しては高輝度化、高効率化、薄型化が求められています。
ミネベアは、これまで携帯電話, デジタルスチルカメラ 、PDAなど白色LEDを使用したモバイル製品用バックライトの開発、生産を展開して参りました。今回、開発に成功したバックライトは、この様な強い市場ニーズに応えてゆく製品として、従来のLEDと導光板の関係を見直し,新しい発想のLEDとそのバックライトユニットを開発しました。
新型バックライトは、ミネベア独自の光学設計技術・金型の精密加工技術・高精度射出成形技術などを総合して開発したもので、2005年10月より量産を開始しています。
本開発製品の特長をまとめると以下の通りとなります。
(1) | 新型LEDの光の取り出し効率は従来比20%向上し,その発光効率は76lm/Wを実現しました。 |
(2) | LED配置の自由度が向上し、2インチサイズ程度まではLED1灯で使用可能です。LEDを複数個使用すれば、輝度は更に高くできます。 |
(3) | 新型LEDは業界最薄の0.5mm高さであり、導光板厚みは標準品が0.6mmですが、0.4mmの業界最薄まで対応可能です。 |
<参考仕様>
表示エリア | 2.4インチ |
---|---|
LED | 4灯 (15mA/LED) |
平均輝度 | 6000cd/m2以上 |
輝度均一性 (注1) | 80%以上 |
(注1) 輝度均一性 : 発光面内の輝度の最小値と最大値との比
* 詳細につきましては、別添資料をご参照願います。
* 「FPD International 2005」フォーラムE2セッション発表原稿
以上
<お問い合わせ先>
ミネベア株式会社
総合企画部 広報室
広報担当:石河 正樹(いしかわ まさき)
〒153-8662
東京都目黒区下目黒1-8-1 アルコタワー19階
TEL: 03-5434-8637
FAX: 03-5434-8607
E-Mail:mishikaw@minebea.co.jp
URL: http://www.minebea.co.jp/
<別添資料> 詳細説明
従来LEDバックライトの課題として、LEDからの光取り出し効率、LEDと導光板との光結合効率が低いことや導光板内の平面方向での指向角が狭いことなどが挙げられます。
従来のLED光取り出し効率は、LEDの封止材表面で全反射による光の封じ込みやLEDの白色樹脂パッケージでの吸収・散乱による損失などがあります(Fig.1)。
また、LEDと導光板の結合効率は、LEDと導光板の隙間での光漏れや導光板端面の入光プリズムでの反射・屈折による損失などがあります(Fig.2)。
さらに、導光板内の指向角が狭いことでLED直前とLED間とで明暗の輝度ムラが発生しやすい傾向にあります。
Fig.1 LED loss | Fig.2 coupling loss |
新型LEDバックライトでは、これらの課題を克服して高性能なバックライトを実現しました。
LEDは従来の白色樹脂パッケージを取り除き、発光面をレンズ形状化することにより、従来の課題であるLED内での損失が低減し、しかも広角に発光することが可能になりました(Fig.3)。また、LED厚さは0.5mmの薄さを達成しています(Fig.4)。
Fig.3 LED luminescence | Fig.4 LED dimensions |
この新型LEDは、従来LEDの特性に対して、広角に配光することにより正面光度は1400mcdから850mcdと低くなりますが、全光束では4.1lmから4.9lmで約20%高くなっています(Fig.5)。その発光効率は76lm/Wを実現し、蛍光灯の発光効率に近づいてきました(Fig.6)。
指向性半値角は平面方向で従来110°から140°まで広がり、垂直方向は2段指向で発光しています(Fig.7)。
効率 Efficiency [lm/W] |
全光束 Total Luminous flux [lm] |
電力 Power consumption [W] |
順電圧 Vf [V] |
光度(正面方向) Luminous intensity (from vertical dir.) [mcd] |
|
---|---|---|---|---|---|
Previous Model | 34.3 | 2.47 | 0.072 | 3.6 | 900 |
Current Model | 64.0 | 4.10 | 0.064 | 3.2 | 1400 |
New Model | 76.6 | 4.90 | 0.064 | 3.2 | 850 |
Fig.5 LED characteristic
Fig.6 LED efficiency
(a) plane direction |
(b) vertical direction |
Fig.7 LED divergence angle
また、バックライトユニットでは、従来のLEDと発光特性が異なることから導光板を専用設計するなど、多くの工夫を盛り込むことにより、均一で高輝度なバックライトユニットが実現できました。
LEDと結合する導光板端面にLEDレンズ形状と同様な円弧形状を施し、両者をマッチングさせています。導光板の円弧上にプリズムを形成することにより、導光板内の平面方向での指向特性をコントロールすることも可能です。
さらに導光板表面の光学素子の形状や密度を最適化することにより、LED配置の自由度が高くできました。この結果、LEDが1灯配置のバックライトユニットの場合、従来は、導光板のコーナーにLEDを配置するのが一般的でしたが、導光板の長辺または短辺の中央部に配置することが実現できました(Fig.8)。
LED1灯にもかかわらず、1.8インチサイズで、平均輝度2600cd/m2、輝度均一性90%以上が達成できています(Fig.9)。また、LEDの使用数が増えた場合では、LED間ピッチの拡大やデッドエリアの削減にも有効です。
Fig.8 LED center arrangement
サイズ Size | 短辺配置 36×30mm(対角 1.8 inch)、長辺配置27×37mm(対角 1.8 inch) |
駆動電流 Current | 15mA |
構成 Configuration | ESR+GP+50LSE+T+BEF+BEF|| |
Fig.9 backlight characteristic |
さらに、LEDと導光板との結合方法を最適化することにより、LEDの発光効率の増加分がそのままバックライトの輝度向上に結び付けることができ、バックライト輝度が従来比で20%向上しています。Fig11は新型LEDバックライトの輝度特性で、導光板の厚さを0.6mm及び0.4mmでのサンプル測定結果より算出したものです。
Fig.10 Backlight unit
Fig.11 Backlight luminance chart
この新型LEDバックライトの構造や製造方法について10件の特許を出願申請しています。
以上
ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。製品または商品の仕様変更・販売終了等により、最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。