2003年12月19日付「解放日報」(上海市共産党委員会の機関紙)記事
「上海ミネベア:自分を厳しく律する」

--上海市城市導報記者:王毅進

2003年12月19日付「解放日報」(上海市共産党委員会の機関紙)記事
2003年12月19日付「解放日報」記事

<訳>
1994年に、淀山湖に隣接する青浦区西岑鎮に上海ミネベア精密機電有限公司(上海ミネベア)が設立されました。
上海ミネベアはミニチュア・小径ボールベアリング、ファンモーター等を製造する企業で、日本のミネベア株式会社(ミネベア)が中国で初めて設立した独資企業の子会社です。

ミネベアは、世界の全ての工場に於いて、環境保全を経営の最重要課題の一つに掲げていますが、特に上海ミネベアの所在地は、風光明媚な観光地であり、上海市住民の上水源でもある淀山湖に隣接しているため、環境保全には万全を期しています。一つの例として、24時間自動監視装置を持つ廃水処理施設において中国の廃水基準を大幅に下回る自社基準での廃水処理作業を行い、処理水の再利用を行っていることがあげられます。また一部を工場から3.2Kmも離れた地点での排出を行っております。
上海ミネベアの工場建屋は、緑色の葉の中に隠れるように淀山湖から数百メートル離れた所に建てられており、数十万平方メートルの敷地には人工湖や大型緑地が造られ、工場全体が優雅な環境になっています。ちなみに上海ミネベアの工場敷地の40%が緑地になっています。

「淀山湖は景色が美しく、上海市民の飲用水源地であると共にリラックスできる名所です。我々はこれまでと少しも変わらぬように自然を大切にし、人類のことを大切にして万全の環境保護措置を行っていきます。中国での事業が将来的に更に発展することがあっても、現工場と淀山湖の間にある緑地は保存する考えです。」と、上海ミネベアの藤澤総経理は言っています。
同工場の廃水処理施設は、操業以来2,600日間安全にかつ基準に合致した水準で稼動しております。3年前に生産規模を拡張し、「上海ミネベア西岑二期建設プロジェクト」を建設しましたが、その後も汚染事故は一度も起こしていない事が藤沢総経理の言葉を証明しております。

「国家環境保護TOP-100優良プロジェクト」第4位という称号を受賞した「西岑二期建設プロジェクト」は上海ミネベア西岑工場の拡張工事で、この工場では主にコンピュータ及び電子機器製品用ファンモーターを製造しております。総投資額は1.32億米ドルで、主な建設工事は工場建屋と廃水処理施設です。

上海ミネベア西岑工場の拡張プロジェクトは、上海市で「国家環境保護TOP-100優良プロジェクト」を受賞した五つのプロジェクトの中で、建設規模から見れば一番大きいものではありません。しかし、同プロジェクトは上海ミネベアが設立されて以来9年間の一貫的伝統を継承し、上海市環境保護局の排出基準よりはるかに厳しい上海ミネベア独自の排出基準により排出を規制することを堅持しています。プロジェクトの完成後から現在まで、安全にかつ基準に合致した水準で900日間稼動しているという事は高く評価されることです。

上海ミネベアは設立時に、上海ミネベアの環境保護の目的、運営体制及び行動原則を確立する「上海ミネベア環境憲章」を制定しました。調べによると、ここまで環境保護を徹底している企業は上海の企業の中では上海ミネベアしかありません。

何と言っても、上海ミネベアは黄浦江上流の水源保護エリアにあります。上海市民の飲用水の安全を確保する為に、市環境保護部門はこの保護エリアに対し、他の地区より遥かに厳しい廃水排出基準を規定しています。処理後の廃水中の化学的酸素要求量(水中の有機物質を酸化剤によって酸化するのに消費される酸素量で、この値が大きいほど汚れが著しいことを示す)を例に挙げると、他の上海市地区では100ミリグラム/リットル以下、上流水源保護エリアでは60ミリグラム/リットル以下の規定に対し、上海ミネベアは廃水処理施設のテスト運営開始の時点から20ミリグラム/リットル以下という独自の排出基準を設定しています。このほか、油類、生物化学的酸素要求量、アンモニア、窒素、浮遊物等についても、上海市が規定している上流水源保護エリアの排出基準に比べ約1/3と言う上海ミネベア独自の低い排出基準を設定しています。そして、更に特筆すべきことは、実際の排水実績がこれらの厳しい独自基準を大きく下回っているということです。

私が「何故自分に対してこれほど厳しく要求しているのですか?」と質問しますと、上海ミネベアの藤澤総経理は、「先ず、我々はこれだけの実力があり、企業の排出基準を守れるという自信を持っているからです。次に、ミネベアの環境方針として“いかなる公害も発生させない”と言うことがあります。三番目に、上海ミネベアの中国人従業員を信じているからです。」と冷静に答えました。

藤澤さんの言葉は美辞麗句はありませんが、人を信服させるものです。

上海ミネベアが設立されて以来9年間の廃水排出状況はなお一層人を信服させるものです。同工場の生産廃水と生活廃水が混合されてから汚水処理装置に入り、生物化学的、オゾン、活性炭等の処理を経た後放流され、その物理、化学的な数値は、9年の間に渡り水道の水とほぼ変わりはありません。従って、処理水の50%はトイレ、道路清掃、緑化灌漑に使用されています。更に、同工場は処理された水の再利用率を更に高める事により、「ゼロ排出」を実現させるという大胆な発想を持っています。 ミネベアは企業の「環境憲章」を守り、企業の排出基準を厳しく実施するほか、色々な面で工夫を続ける事により、見える汚染、考えられる汚染を徹底的に軽減しようとしています。同社では、従来生産の中で部品の洗浄剤として特定フロンおよびエタンを使っていました。しかし、これらが大気環境のオゾン層破壊物質である事を認識し、1993年に世界のベアリングメーカーに先駆けて、グループ全ての工場における特定フロンおよびエタンの使用を全廃し、純水を使って部品を洗浄することを始めました。このことで、アメリカ政府の環境保護局から「オゾン層保護賞」を計3回受賞したのです。

淀山湖地区の環境保護を促進する為に、1996年に、上海ミネベアは「上海ミネベア淀山湖環境保護基金」を設立しました。現在、基金総額は1,100万元になっています。同基金を活用して工場敷地に面した国道沿いに桜の苗木を寄贈するなど近隣地域の緑化、農村地域での個人住宅への簡易トイレの設置などを行っています。

もし、あなたが上海ミネベアを見学する機会があれば、スリッパに履き替えて廃水処理センターの化学検査室に入ることでまず驚嘆し、そして同工場の処理済廃水で養育される錦鯉を楽しく観賞する事により、上海ミネベアの環境保護におけるその姿勢の真剣さと環境管理の大きな効果に心服することでしょう。

偉大な緑色石碑
--上海「国家環境保護TOP-100優良プロジェクト」に関するスケッチ

1973年に、第一回全国環境保護会議が開催されて以来、中国の環境保護は30年の道を歩んで来ました。中国の環境保護では、「予防第一」の方針が貫徹され、建設プロジェクトの本体建築が環境保護施設と同時に設計、同時に施工、同時に稼動される(「三同時」と略称される)ことが要求されています。去年、国家環境保護総局は全国的規模で、ここ数年間の建設プロジェクトに対する評価を実施しました。その結果として、全国で77件の建設プロジェクトが「国家環境保護TOP-100優良プロジェクト賞」を受賞しました。それらの中で、上海大衆自動車有限公司の第三代サンタナ乗用車プロジェクト、上海ミネベア精密機電有限公司の西岑二期プロジェクト、上海宝山製鉄(グループ)公司の1550帯鋼冷間圧延プロジェクト、上海呉発電所の八期プロジェクト、上海華虹NEC電子有限公司の8インチICチップ製造ライン建設プロジェクトの五プロジェクトが、中国環境保護の最高栄誉を受賞しました。
この五つの「国家環境保護TOP-100優良プロジェクト」の投資総額は約300億元で、上海の東西南北で5基の「偉大な緑色石碑」を樹立しています。

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