2012年
(2012年10月掲載)
各社のCSR活動の現状
水上 では、お取引先様にも、それぞれ自社のCSR活動概要についてコメントいただけますでしょうか。
協同油脂(渡辺氏) 協同油脂では、潤滑油メーカーとして「トライボロジー(摩擦)精神の実践を通じて産業界に貢献する」ことを社会的責任の根幹と考えています。特にまだ「CSR」という枠組みでの活動はしておりませんが、産業界と学術界の橋渡しとなるトライボロジー研究会の運営をはじめ、環境マネジメント、省エネ貢献製品、障がい者雇用、コンプライアンスなどの分野でも取り組みを進めています。
日亜化学工業(赤木氏) 私ども日亜化学工業は「勉強しよう、よく考えてよく働こう、そして世界一の製品を創ろう」を行動指針に、「日本でのものづくり」にこだわり続けてきました。「取引先に愛されない会社は永続しない」をモットーに、「協力企業や地域周辺企業と共に発展していく」ことを目指しています。
ポーライト(大嶋氏) ポーライトは今年の創業60周年を機に、社員行動指針とポーライト行動憲章を策定しました。ただ、本業を通じての社会貢献には力を入れているものの、それにプラスして何ができるかについては人的、資金的な制約があること、また海外での事業展開も進めていますので、海外に同じ行動憲章を持っていけるのかという議論もあって、まだ社外に配布する段階には至っていません。
富士プリント工業(冨田氏) 私たち富士プリント工業も2011年5月に新たに経営理念を策定しましたので、それを全うすることで社会的責任を果たしていこうと考えています。また、ステークホルダーごとに目標を定めるとともに、コミュニケーションの重要性を強く認識しています。例えば、お取引先様に関しても懇親会などを定期的に実施するとともに、主要10社様には株主にもなっていただいて、ご意見を経営に生かしています。
水上 ステークホルダーごとの目標実現に向け、CSR推進委員会などの組織は特に置かれていないのでしょうか。
富士プリント工業(冨田氏) 置いていません。ただ、毎年年度初めに行う「方針説明会」では、今年度のグループごとのCSR方針について、社長と私、それから各グループ責任者が宣言を行います。その後も毎月の月次会議で、取り組みの進捗状況と今後について報告するなど、CSRを経営課題と位置付けて取り組むことで、PDCAサイクルの実現を目指しています。
住友金属工業(芳賀氏) 住友金属工業では、2010年に社長をトップとするCSR委員会を設置しました。2011年3月には企業理念を制定するとともに、企業行動規範も改定して社内およびグループ内への浸透を図っているところです。技術、品質、サービス、そしてCSRの面からも当社の価値を高めて、社会から信頼される会社となるために取り組みを進めていきたいと考えています。
水上 委員会設置には何かきっかけはあったのですか。
住友金属工業(芳賀氏) 特にありませんが、総務部として「せっかくさまざまな分野でCSRに取り組んでいるのに、その全体像が社内あるいは社外に見えていない、社としてきちんと取り組むべきだ」と提案しました。
フジクラ(瀧本氏) フジクラも、2009年にあらためてCSRの取り組み体制を整備しました。社長を責任者とするCSR委員会を立ち上げ、その下部組織として「経営」「社会」「環境」の3つのワーキングチームを設置。各グループがそれぞれ3年ごとに重点方策を策定し、各部門とグループ会社の推進チームの双方向で情報をやりとりしながら取り組みを進めています。
水上 こちらは何か、体制整備のきっかけは。
フジクラ(瀧本氏) お客様からのCSRに関するアンケート回答の要請が年30件ほど来るのですが、きちんとした体制がないので答えられないということが重なって。「体制整備して本格的に取り組むべき時期だ」という認識を持ちました。
ミネベア(今仲) 委員会には専任の方はいらっしゃるのですか。
フジクラ(瀧本氏) 環境部門は専任の者がいます。社会、経営については私が統括しています。