追加説明
第60回定時株主総会
1.中期的展望における経営方針について
当社は、次の三つの基本方針を経営の三本柱としております。
その第一は、「ベアリングとベアリング関連製品事業の一層の強化拡充をはかる」ことであります。
第二は、「精密小型モーター事業をさらに拡充し、ベアリング関連製品と並ぶ柱に育てる」ことであります。
そして第三は、「全ての製品について、高付加価値製品の比率を引き上げると同時に、製品の幅を広げ、より広範囲な市場に対応できるようにする」ことであります。
当社最大の特徴であり、強さの源泉であります『超精密機械加工技術』、『大量生産技術』及び『垂直統合生産方式』を徹底的に追求することにより、経営の三本柱の実現を計っております。
また、三つの基本方針を更に加速して進めるため、「構造改革の断行」、「技術開発の強化」、「将来像を明確にした経営」を進めて参りました。「構造改革の断行」は、昨年7月1日より組織の大幅な改変を行いました。
また、「技術開発の強化」についてでありますが、従来事業部等で各事業部の判断で行われる傾向にありました研究及び技術開発を新しい技術本部の基で、事業活動の重複を避けるとともに、各所で行われている技術開発をつなげて最大限のシナジー効果を発揮できるよう技術部隊の再編などを行い、その効率的な運営に努めます。
そして、「将来像を明確にした経営」とは、改めて今後の市場の動向を分析し、将来発生するニーズに向かって技術開発等の準備を行い、製品開発に資本を集中して投資して参ることであります。
これら3つの施策により、当社の経営基本方針を加速致して参ります。
2.タイにおける生産活動について
1982年に、バンコック市の北方75kmの所にあるアユタヤ市で、生産活動を開始して以来、24年が経過いたしました。
現在タイは、4地域に工場群が展開し、従業員約3万人、ミネベア・グループの総生産高の約50%を産出する、ミネベア・グループ最大の生産拠点であります。
「ハードディスクドライブ用スピンドルモーター」、「ミニチュア・小径ボールベアリング」、「ピボットアッセンブリー」、及び「液晶用ライティングデバイス」等の生産拡大を行うなど、当社の主力生産基地としての拡充が続いております。
3.上海市における生産活動について
当社は、1994年に、中国の上海市郊外にミネベア・グループ初の中国現地法人『上海美倍亜精密机電有限公司』を設立し、「ミニチュア・小径ボールベアリング」と「ファンモーター」の生産を開始いたしました。
その後、それら製品の生産は順調に引き上り、現在の生産は、ミニチュア・小径ボールベアリング,ファンモーター,計測機器、コンピューター用キーボードであります。
なお、ファンモーター、キーボードについて主力の生産工場となっています。
ミネベア・グループの総生産額に占める中国の比率は、現在約20%であり、中国は、タイに次ぐミネベアグループ第2の生産基地であります。
今後、中国市場、及び 世界市場、中国情勢並びに為替の動向等を良く見極めながら、中国工場の生産品目、生産規模の判断を行って参ります。
4.ミネベア・松下モータ株式会社について
「ミネベア・松下モータ株式会社」は、2004年4月1日に、当社と松下電器産業株式会社モータ社の情報モーター四商品事業の統合により、両社の合弁会社として発足いたしました。出資比率は、当社が60%、松下電器産業株式会社が40%であります。
情報モーター市場は、日本メーカーによる寡占化が進む一方、中国メーカーの参入などにより、競争が激化しておりますが、一方では、プラズマテレビ、液晶テレビなどのデジタル家電、パソコン、携帯電話などの情報端末、また、ゲーム機などの新規分野で需要拡大が期待される成長市場であります。
ミネベア・松下モータ株式会社は、当社の超精密機械加工技術、大量生産技術及びコスト競争力と、松下電器産業株式会社の最先端商品開発力を融合させて、競合他社に先行した優位性のある高付加価値商品の開発、開発スピードの向上、製造力及び顧客密着営業体制の強化を図り、統合した情報モーター分野で世界一の地位を目指して参りました。
前期には事業構造の見直しを行いました。今期は、組織改革、原価の低減等を行って、利益化に取り組んで参る所存です。
5.キーボード事業構造改革について
当社は、キーボード事業の収益改善を推し進めてまいりました。2006年3月期中にタイから中国上海への生産移管を完了させ、上海順鼎科技有限公司 (以下SST)の生産効率の改善に努めてまいりましたが、価格競争の激化や近年のプラスチック原材料価格等の高騰の影響もあり、十分な損益改善が果たせませんでした。この状況を受けて、様々な観点から事業の抜本的な改善に向けた検討を行った結果、キーボード事業の構造改革を、次のように実施する判断に至りました。
事業構造改革では、当社の技術力と競争力を活かすことのできる品質の高い高価格品モデル等を中心とした生産・販売の事業体制に集約します。なお、この構造改革を推し進めるにあたり、組織再編、過剰となる生産設備・金型等の固定資産及び棚卸資産の整理・処分として事業構造改革損失34億円を連結決算において、計上しました。
また、当構造改革による損失についてはキーボードの主力生産会社であるSSTにおいて特別損失を計上する結果、SSTの持株会社である当社シンガポール法人Sheng Ding Pte. Ltd.の株式実質価値が当社帳簿価額を著しく下回り、回復には相当長期間が必要と思われるため、当社単体決算において、同社株式の評価損、及び事業構造改革損失を合わせて、88億円計上しました。